ハーダンガーに魅せられて

ノルウェーの区限刺しゅうハーダンガー

手芸を主婦の暇つぶしと侮るなかれ。主婦はマルチワーカーなのだぞ。

初級の申請が終わり、細々と中級の作品を進めています。とはいっても、優先すべき仕事が先で、中々ゆっくりとはできないものです。

最近刺しゅうにハマっています、と話すと、そうよね、子供居ないし主婦だし、って心の声が聞こえてきます。ある程度は覚悟しています。でもね、あなたが思ってるほど、家にいて、家を守るって簡単じゃないのよ。まぁ人それぞれ、どこまで手をかけて家を守るかって程度によりけりかもしれないけれど、世間の目は厳しいのよ。

外で仕事している人は、それだけで勤労感謝されるけれど、主婦はやって当たり前、やらなきゃなんでできないの?それくらい主婦なんだからして当然、と論破してくる。

「名もなき家事」というワードが世間を賑わせたのは最近でしょうか。本当に些細なことかもしれません。それでも、留守を人に任せて外でのびのび仕事をしている方々、あなたが些細だ・大したことないって思って、留守中の家人に任せている諸々の用事、それをこなすために頭を使い、労働で体力を使っている家人の身になって考えたこと、あるでしょうか?

なんであれ、目的を遂行するためには、企画運営に頭を巡らし、必要なモノを揃える過程があるのです。遂行する期間や時間が指定されていれば、それに間に合うようにこちらが動かねばならない。材料が簡単に手に入るものもあれば、吟味して発注したり、他人に依頼しなければならないこともある。

家庭における家事全般もまたしかり。だけれども、そこに気づく人がいない。

「今から帰る。ごはんよろしく」とメールを送ったのだから俺はできた奴だ、なんてほざく人がいたら、ちょっと軽く懲らしめてもいいですかね?

「今から」?え、今どこにいて、どのくらいかけて自宅に戻るの?寄り道なんかしてこないよね?帰ってきてやっぱ先に風呂入るわ、なんて言わないよね?そしたら風呂の用意までしなきゃならないでしょ。すぐ食べるなら、できあがりを逆算して仕込まなきゃね。子供がいたら、その間に宿題見たり、明日の持ち物チェックもやらなきゃ、あ、お知らせが来てたから目を通さなきゃ。なんてしている間に時間が進み、いつの間にか「ただいま~」と陽気な声が聞こえてくる。まだフライパンあっためてないのよ。。。

常にアンテナを張り巡らせ、どんな状況にも動じずに対応する臨機応変なマルチワーカー、それこそが主婦!

・・・で、長々書きましたが、その合間に趣味に講じて何が悪いんでしょうか?

主婦って拘束時間も長いんですよ。結局24時間家に縛られてますからね。病人や介護があれば夜中だって起きてるでしょ。それでも仕事や学校に家族が出かければ、やりようによっては隙間時間ができる。そこでなにをするか。

少し前の私は、とにかく休息。休まないと体が持たない。いまでもまぁそうなんですけど。でも少しずつ体力が回復してくると、何かしてないともったいないという気になる。

で、結局私は刺しゅうに走るわけですが、これってすごいことなのでは?と改めて思うように。与えられた任された仕事をしながら、上手に時間を見つけて自分を高められるコトに励む。もちろん手芸だけではなく、資格取得の勉強などでも構わない。自分のペースでできるから気楽とはいえ、誰も指南してくれるわけじゃないから、自身をコントロールできる精神力がなかったら、思うようには進まないし、誰も褒めてもくれない。

自由とは一見して素晴らしいモノかもしれないが、裏からのぞけば、何の制御もない状態でどこまでやれるか、未知の世界であって、完成度も人それぞれ。失敗も多々あるものである。

長々と書いて、だから主婦を褒めそやしてくれ、などと言う気はありません。ただどんな世界でも分野でも、表と裏があって、人の見ていないところで黙々働いている人が居るってことだけは、忘れてほしくない。その見えない力のお陰で助けられて今の自分がある。全て自分の力のようでいて、実は見えざる力に支えられていることを忘れてしまってはいけない、そう思う今日この頃です。

 

そして実のところ、その見えざる支えは意外に夫だったりする、なんて思うこともあるのです。主婦という仕事が、実は自分に適していて、存分に思うがままにさせてもらっている。それこそ、適材適所を見定めた彼の偉業なのかもしれない。

自分が主婦の鏡とは思えないし、至らない部分は数多くある。それでも、主婦を侮る人々がまだ存在するなら、いつかぎゃふんと言わせてやりたい。主婦なめんなよって。

どうにかして主婦業と手芸を両立させて成功する、専らの目標であり到達点。暇つぶしなんて言わせないぞ!